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新作『Lemondale』発売! Bill Wellsインタヴュー

グラスゴーの奇才にして天才ミュージシャン、ビル・ウェルズが、日本でレコーディングした新作『Lemondale』を発売! 日本からマヘル・シャラル・ハシュ・バズの工藤冬里、テニスコーツ、二階堂和美、青柳拓次(リトル・クリーチャーズ、カマ・アイナ)、藤井郷子、梅田哲也、ジム・オルークなど数多くのミュージシャンが参加し、プロデュース/ミックスにはTFCノーマンも加わったた日本ーグラスゴーを結ぶ美しい新作について、ビルにインタヴューを行いました。アルバムを聞きながらぜひ読んでみてください!

Q1. アルバムの発売おめでとうございます。とても美しい作品だと思います。アルバムは2008年に日本でレコーディングされていますが、まずはこのプロジェクトがどうスタートしたのか教えてもらえますか?

ビル・ウェルズ(以下B):これの作品はレーベルの〈Domino / Geographic〉と契約して最初の正式なアルバムなんだ。マヘル・シャラル・ハシュ・バズとの2009年の作品『Gok』が先に出ているけど、あれは契約する前にすでに完成していたものだからね。もともとのアイデアはビル・ウェルズ・オクテットとして最初のスタジオ作品を作ろうと思っていたんだ。それを日本でレコーディングできないか提案していたんだけど、その後〈Scottish Arts Council〉からも資金を得ることが出来てね(スコットランドはこうして政府機関がアーティストを数多く支援しています)。最初はセッションをきちんと企画しようと思って、一年前くらいから日本のみんなにメールを出したりしてたんだけど、あまりに先の日程を提案したのでうまくいかなくて、なら、もうできるだけ長く日本に滞在して、直接参加してほしいみんなに声をかけて日本にいる間に完成させてしまおうと思って、2008年に来日してプロジェクトをスタートさせたんだ。

Q2.アルバムは基本的に東京でたった一日でレコーディングされていますね。14人ものミュージシャンが参加していますが、セッションはどういったものだったんでしょうか? 一日でそれだけの人数のミュージシャンとレコーディングするのは大変だと思いますが、レコーディングを振り返って難しかったことなどありますか?

B:一番難しかったのはセッション自体をセッティングすることだったね。参加してくれた日本のミュージシャンはみんなバンドのリーダーだったり、有名なアーティストだったりで忙しいスケジュールだったからね。企画のある時点で僕は、みんなを一度に集めるのはもう不可能じゃないかとも思ったよ。実際数人はセッションの前日にアメリカから帰国してたりするし、テニスコーツもセッションの翌日からディアフーフとのツアーに出たりしているしね。みんな忙しい中集まってくれたことに感謝したいね。
もうひとつ難しかった点は、当日にはどんな音が録れているかわからなかったということだね。基本的には全員に同じメインとなる楽譜を渡して、そこに各自のパートを加えてもらって、全員で一緒にレコーディングをしているんだ。もちろん現場で聞いていて、いい瞬間がたくさんあったことは分かっていた。けれど、当然現場は混乱もしていたし、当日はスタジオで録った音を聞き返す時間はなかったから、僕がスコットランドに帰るまで、どんな音になっているかはわからなかったっていうのは不思議な経験だったね。スコットランドに帰って、だんだんレコーディングの全体像が見えてきたという感じだったよ。

Q3. アルバムにはたくさんの日本のミュージシャンが参加しています。あなたはこうした日本のミュージシャンと長くいい関係を築いてきていますが、その交流のきっかけはなんだったのでしょう?

B:最初はデヴィッド・キーナン(David Keenan/スコットランドのミュージシャン・批評家。初期18 Wheelerのメンバーでもあった)が、工藤冬里と工藤礼子のマヘル・シャラル・ハシュ・バズを見つけてきたことから始まったんだ。パステルズのスティーヴィン・パステル(Stephen Pastel)が彼らのアルバムを〈Geographic〉からリリースすることになって、彼らに会える機会があって、そこから一緒に仕事をするようになったんだ。そして2004年に彼らが僕を日本に読んでくれてそれ以来、日本との関係が続いているよ。

Q4. そうした日本のミュージシャンの魅力はなんでしょう? 彼らの多くは日本でメジャー・レーベルには属していません。もちろんみなさん才能あるミュージシャンであることには間違いないですが、時にこうした日本のアンダーグラウンドとも言えるシーンにスコットランドからきたあなたが近い存在であることは不思議にも感じます。

B:確かに彼らはアンダーグラウンドかもしれない。けれどいいミュージシャンがいつもメジャーにいるというわけではないし、それは関係ないよね。アルバムに参加してくれたみんなは、僕にとって世界中でも一番すばらしいアーティストの一部だってことは間違いないよ。多くの場合、彼らが作る音楽そのもので僕は判断しているからね。

Q5. そうしたミュージシャンの中でもアルバムに参加しているテニスコーツのさやと二階堂和美はとてもすばらしいヴォーカルを聞かせてくれていますね。ビル・ウェルズ・トリオの作品でのパステルズのカトリーナが歌う"D.A.D.E"など過去の曲からみても、あなたは女性ヴォーカルを自身の曲に乗せるのがとてもうまいと思いますが、彼女ら以外に好きな女性シンガーはいますか?

B:さやと二階堂和美は今この地球上でも最もすばらしいシンガーの2人だね。そして2人が一緒になった時には、まるでテレパシーで通じあったかのような相互作用が生まれるんだ。好きな女性シンガー? う〜んたくさんいるけど、今ぱっと思いつくのはブリジット・セント・ジョン(Bridget St John)、アーネット・ピーコック(Annette Peacock)、ダグマー・クラウセ(Dagmar Krause)、カレン・マントラー(Karen Mantler)とかかな。

Q6. またアルバムに参加している作家、音楽家の梅田哲也は、とてもユニークなアーティストですね。クレジットには"fan, etc"と書いてありますが、彼の出すほとんどノイズに近いともいえる音は、アルバムにとても不思議な一面を加えていると思います。どうして彼とセッションをしたいと思ったのですか?

B:彼とは初めて会ってすぐに仕事を一緒にしてみたいと思ったんだ。関西に住んでいる彼がレコーディングの時に東京にいてくれたのはすごくラッキーだったね。最初はなにか楽器を演奏してもらおうかと思ったんだけど、彼は自分自身のそうしたファンなどがついた機材を持っているから、なんでも好きなように音を出してもらうよう頼んだんだ。結局、それらの音はすばらしくて多くの曲に使用したよ。彼の音はアルバムのサウンドに、エッジとちょっとした乱雑さ、そしてある種の刺激を加えてくれたと思うよ。

Q7. アルバムには4曲目の"Mizu Tori Kudo"、9曲目の"Mizu Tori"と同じ曲名がありますね。これは偶然ですか?

B:単なる僕のジョークだったんだよ。どう日本語に訳されているかはわからなかったけどね。"Mizu Tori"が日本語で水鳥っていうことは知っていたよ。で、工藤さんの名前の冬里が英語だと同じく" Tori"になるから、4曲目は"Mizu Tori Kudo"になったんだ。またその"Mizu Tori Kudo"は、東京ヴァージョンの"Mizu Tori"でもあるんだ。9曲目の"Mizu Tori"はどうしても東京でうまくいかなくて、この曲だけ大阪でレコーディングしたものを収録しているんだ。だからこの2曲には関連性があるんだよ。

Q8. そしてラストに収録されているタイトル・トラックの"Lemondale"はとても印象的な曲ですね。ここ数年で聞いた曲の中でも最も美しいものだと思いますし、またアルバム全体のムードも象徴していると思います。この曲について教えてくれますか?

B:日本にいた時に、日本のドラマのテーマをレコーディングするっていう夢を見たんだ。それが"Lemondale"っていうタイトルだったんだよ。起きた時にその曲がドラマのエンドロールでかかっているっていうシーンだけを覚えてたんだ。この曲のレコーディングはワンテイクで済んだんだ。それで十分だと思ったからね。最初はナンセンスな感じもあったから、この曲をアルバムに入れるかどうかも迷ったんだけど、聞きなおしてみると不思議な感動とパワフルさが曲にあって、入れるならタイトル曲にしてアルバムの最後に壮大なラスト・トラックとしてしか入れられないと思ったんだ。

ちなみにその"Lemondale"というのは造語でしょうか? なにか意味がありますか? B:まったくの造語だよ。夢っていうのは意味不明なコネクションを作るものだよね。イギリスには「Emmerdale」っていうドラマがあるんだ。またスティーヴ・クーガン(Steve Coogan)のコメディー・シリーズ「Saxondale」も当時見ていたし、ニール・ヤングのアルバム『Greendale』もあるよね。そうしたものが頭にあったんじゃないかな。レモンがどこから来たかは全然わからないよ。

Q9. 先にあなたと日本の関係を聞きましたが、あなたの住むスコットランド/グラスゴーという地域と日本とのつながりも長いものがあります。あなたが一緒に仕事をしてきたパステルズやティーンエイジ・ファンクラブ、ベル&セバスチャンといったバンドはみな日本で人気がありますし、また今回のアルバムに参加しているマヘルやテニスコーツをはじめとする日本のミュージシャンもスコットランドをツアーするなど現地で人気があります。あなたの視点からみて、こうした日本とグラスゴーのシーンの共通点はなんでしょうか? またなにか違いは感じますか?

B:共通しているのは音楽に対して真摯な姿勢でいるってことじゃないかな。時にちょっとあいまいだったり、ちゃんとしてないっていう部分も含めてね(笑)グラスゴーの仲間はもちろんすごく尊敬しているけど、僕の視点から比べると日本のミュージシャンというのはよりオープンで他の人の音楽にもより柔軟性をもって対応しできるっていう印象があるね。

Q10. そのグラスゴーのティーンエイジ・ファンクラブですが、今作にもメンバーのノーマン・ブレイクがプロデュースとミックスのヘルプという形でクレジットされていますね。彼の役割はどういったものだったのですか?

B:ノーマンは僕の大事な友人ですごく助けになってくれたよ。彼と僕はだいたい週一回くらい会って、いろいろ音楽を作ったりしてるんだけど、このアルバムを聞かせたら、タイトル曲の"Lemondale"をすごく気に入って、ミックスを手伝ってくれたんだ。またプロデュース面でも僕では思いつかないアイデアをたくさん出してくれて助けてくれたよ。彼はほんとうにコンピューターおたくだからね!(笑)

Q11. あなたのキャリアを振り返るとそうした日本、グラスゴーを含む他のミュージシャンとのコラボレーションが多く見られます。最近でも元アラブ・ストラップのエイダン・モファットとのアルバム『Everything's Getting Older』がありましたが、こうしたコラボレーションが多い理由はなんでしょうか?

B:僕にとって音楽についてすばらしく思うことのひとつがそれが社会的活動だということなんだ。友情を深めることが出来たり、なにかとつながっていると感じることができるからね。またコラボレーションというのは自分では絶対に思いつかなかったりできないことを可能にしてくれるから、それも面白い点だと思うよ。

Q12. そのコラボレーションの一環で、あなたの次のプロジェクトに〈The National Jazz Trio of Scotland〉がありますね。このプロジェクトについても教えてください。

B:〈The National Jazz Trio of Scotland(NJTOS)〉は、Aby Vulliamy、Lorna Gilfedder 、Kate Sugdenという3人の女性ヴォーカルのプロジェクトなんだ。僕のピアノとコンピューターのサンプル、そしてノーマンもゲスト・ヴォーカルで参加しているよ。今年中に作品を出すつもりさ。

Q13. あなたは何度も来日をしていますが、日本で好きな場所、食べ物はありますか?

B:渋谷のベジタリアン・レストランの「なぎ食堂」だね。あそこの食べ物はなんでも大好きだよ。

Q14. 今日の一曲はなんですか?

B:Fly High - Bridget St Johnだね。

Interview by Kazutoshi Yasunaga@Office-Glasgow / 協力:Hostess Entertainment(無断転載禁止)

ビルの言うように、彼の日本との交流とすばらしい日本のミュージシャンとの交流から生まれた作品『Lemondale』(アートワークはジャド・フェアー!)は2月22日に国内盤が発売! やさしく、美しく、そしてちょっと不思議な素敵な作品です。ぜひ聴いてください!

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ビル・ウェルズ
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